設立趣旨・経緯

設立趣旨

一般社団法人ユニバーサルデザインいしかわは、北陸の地域特性に根ざしたユニバーサルデザインの普及を図る事業を行い、多様で豊かなまちを実現するためのプラットフォームの構築を目指し設立するものです。
我々は、一人一人の多様な生き方を大切にしたノーマライゼーション社会の実現に向けてユニバーサルデザインの考え方や手法を様々な領域での課題解決やデザインの推進に役立てると共に、政策決定プロセスやビジネスモデル等における創造的活動の基盤となることを目指します。
我々は、ユニバーサルデザインを福祉医療、地場産業、建築、スポーツ、アート、観光など幅広い領域へと広げることにより、地域の活性化に寄与するとともに、多様で豊かなユニバーサルな生活情景が醸成されることを目指します。

設立に至るまでの
経緯

石川県は、国に先駆け2004年に「石川県バリアフリー社会の推進に関する条例(バリアフリー条例)」を施行し、建築、道路・公園、交通などのまちづくりのハード分野でのバリアフリー化を推進しています。 県内の多機能トイレの設置率、機能や質は日本の中でも高いレベルであり、また、無電柱化の推進や金沢ふらっとバスの早期導入など、各市町でもバリアフリーへの取組みが実施されてきています。さらに、「バリアフリー推進工房」では高齢者や障がいのある人の生活の総合的な支援を行うとともに、専門家や関係機関とも連携した福祉用具やユニバーサル製品の研究開発、公共建築の設計施工や企業への技術支援などを行っています。
このように石川県は、国内の他都市と比べてバリアフリーに関して先進的であるといえます。しかし一方で、各種バリアフリー整備基準のマニュアル化は設計の水準を担保するものではありますが、設計者がその背景や多様なユーザー像を知ることをなく設計を行うことができる弊害も併せ持っています。

日本は欧米やアジアの中でも急速に高齢化が進み、2035年には超高齢化社会を迎えることが予想されています。急速に進行する少子高齢化のもと、県内各地における暮らしを豊かで安心なものとしていくには、暮らし手の様々な能力や身体特性に向かい合い、そこから新たな魅力を秘めた解を創出していく多職種によるプロジェクト的活動が常に求められています。
北陸新幹線の金沢開業によって、国内外からこれまで以上に多様な人々がこの地を訪れるようになりました。地域の特性を尊重し、一人一人の暮らし手が個性豊かな生活をおくれる地域づくりの推進や、地場の特性を活かしたユニバーサルな製品開発、参加する楽しみや喜びを実感するアートやスポーツの交流や表現活動は、国内外からの来訪者にとっても魅力的な生活文化や産業の形として享受されるでしょう。
豊かでユニバーサルな石川の生活情景の醸成に向けて、あらゆる領域でユニバーサルデザインが創造的かつ持続的に展開されるためのプラットフォームの構築は、石川の未来を拓く礎となると考え「ユニバーサルデザインいしかわ」を設立いたしました。

2017年3月3日
一般社団法人ユニバーサルデザインいしかわ

ユニバーサルデザイン
(UD)とは

年齢・性別・人種・障害や能力の差に関わらず、できる限り多くの人々が利用しやすい道具や設備、都市や生活環境をデザインする考え方と方法です。我が国においては2003年に国際ユニヴァーサルデザイン協議会が100社を超える企業の参加により発足し、家電品や車、情報機器、住宅や公共建築まで幅広い領域の企業がユニバーサルデザインを製品開発や設計施工の要として取り組んできています。また、2005年には国土交通省が「ユニバーサルデザイン政策大綱」をまとめ、「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」生活環境や連続した移動環境をハード・ソフト の両面から継続して整備・改善していく目標を立てています。
ユニバーサルデザインは「一本のスプーンからまちづくりまで」我が国のそして世界のものづくり社会づくりの根幹をなすものとなってきています。