摂津市は淀川が決壊したら地域の8割が5m以上水没して、2週間以上水に浸かるということが言われています。そこで避難できなかった人のための避難所を新しく作る試みが行われています。市の指針では、「誰もが自立した尊厳ある避難生活ができる。誰もが利用できる避難所の整備、運用をめざす」としています。そして、避難所での困りごと(Access and Functional Needs)からアプローチしていくことを宣言し、当事者(Advocate)の経験知に学んで、当事者参画のスパイラルアップで作っていくことを基本方針に掲げました。このAccess and Functional Needs(通称AFN)とういう概念は、個々の人の機能障害からアプローチするのではなく、同じ困りごとが生じやすい、困りごとから人にアプローチするという考え方です。これまでは、車椅子の人、視覚障害者の人、聴覚障害の人など、それぞれの障害者の困りごとを一つずつ解決しようとしてアプローチしてきました。しかし、そうではなく困りごとから考えることで、例えば「上下移動が困難」の困りごとには、車椅子ユーザーだけでなく、高齢者も妊産婦も荷物を持つ人も当てはまります。これにより、ある個人属性を見落とす可能性が低くなり、機能障害のカテゴリーを越えて、課題の共通認識が持たれ、対策が共通化しやすくなります。そして、平時は困っていなくても、災害時には困ることもたくさんあり、その変化にも対応しやすい概念だと思います。