ユニバーサルデザインを分かりやすい言葉であらわすと、「みんなのデザイン」となります。できる限り多様な人が使えるようにする。人を排除しないことを目指すデザインです。実際、ヨーロッパでは「Design for All」という表現が各国の言葉で語られています。まさに「みんなのデザイン」です。私たち法人の目標も、「Design for All」 、「みんなのデザイン」の実現を目指しています。デザインの対象は、生活道具や住宅、公共建築や公園、交通機関など、暮らしの幅広い領域にわたります。私たちは、それを「一本のスプーンからまちづくりまで」という言葉で表しました。私たち、一般社団法人ユニバーサルデザインいしかわは、「一本のスプーンからまちづくりまで」誰もが使いやすく豊かな魅力を秘めた「みんなのデザイン」の実現を目指します。
ユニバーサルデザインの目標である「Design for All」 、「みんなのデザイン」を創造していくには、デザイナーや建築家、プランナーが、高齢者や障がいのある方と実際の暮らしの現場で一緒に問題や課題を探り、それを爽やかに解決するアイデアやデザインを追求する方法が鍵であり、秘訣となります。暮らしの現場からのコラボレーションデザインと言っても良いでしょう。したがって、デザインの取り組み方、デザインの進め方として、高齢者や障がいのある方のためにではなく、高齢者や障がいのある方と共にデザインする、「共にDesign for All みんなのデザインを探る」方法を目指しています。
暮らしの現場からという表現をつかいましたが、(一社)ユニバーサルデザインいしかわのもう一つの目標が、暮らしの現場に根ざしたデザインを追求することにあります。私たちの眼差しはいしかわの暮らしに向かい合っています。「いしかわの暮らしの現場から“Design for All みんなのデザイン”を創造していこう」ということです。歳をとって体力や視力が弱くなっても、また身体の機能に障がいが発生しても、いしかわの気候風土、歴史文化に育くまれた暮らしを続けていける、楽しんでいける、諦めることのないようにしていこうというわけです。この目標は、誰もが願うことと言って良いでしょう。また、ユニバーサルな生活環境を実現していくことは、いしかわで暮らしている人だけではなく、国内外からいしかわに訪れる全ての人を優しく受け入れるものとなることでしょう。しかし、今日言葉にして明日実現できることではありません。共通のビジョンを持ち、長期的な、創造的デザインの地域的な取り組みが鍵となります。「(一社)ユニバーサルデザインいしかわ」 はこの地域的多領域的なデザインプロジェクトの基盤、プラットフォームづくりを目指しています。
超高齢社会、そして、国際化が進む私たちの暮らしの現場において、“Design for All みんなのデザイン”をユーザー参加型で創造的に進めていく方法は、21世紀のあらゆる産業ビジネスの鍵となることが予感されることと思います。そのプロセスからは、新たな魅力を秘めたものや暮らしが生み出され産業を豊かにすると共に、豊かな問題解決力や創造力を備えた、次の時代を支えリードする人材が育くまれていくと考えられます。また、そうしていきたいと私達は願い努めていきたいと考えています。